Kojimachi Dr.Shiraishi Japanese Osteopathy -since 2009-

 

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顎関節症と顎関節脱臼のこと

当院における顎関節症の治療

顎関節に問題が生じると・・・;
顎の関節に障害が生じると、コキコキ、カリカリなどの音がする、顎が痛む、口が開けづらい・・・などの局所的な不快症状が起こることがあります。悪化すると、肩こり・首のこり・耳鳴り・頭痛・腰痛・体のしびれなどの 全身的な症状まで、広範囲な症状になることがあります。
下顎は頭から吊り下げられた形なので顔面、頸背部の筋の状態に影響を受けやすい構造をしています。下顎骨の位置や機能が正しくないとこれらの筋緊張が生じやすくなり、結果として、脊椎
(背骨)のバランスがくずれて、ついには全身的な症状をきたすこともあります。顎関節の正しい機能は、全身のバランスをとるために重要なのです。

頸椎へのアプローチが必要な理由;
ヒトの体にはいろいろな関節があります。それらの関節のほとんどはヒンジ運動をしていますが、顎関節は口を開ける時、骨頭(下顎骨の)がヒンジ運動に加えて、さらに前に滑り出す ”
グライディング” という動きをしています(図1)。このような動きはヒトが四足歩行から二足直立歩行したことで獲得した機能です。ヒトでは大きく口を開ける時、下顎が頸椎の前面に近づ いてゆくことがわかると思います。つまり、ヒンジだけでは下顎が頸椎に当たってしまうために、大きく口を開けることができず、必然的にグライディングの動きが必要になったのです(図2)。また下顎は一つの骨に左右二つの関節を持っていることも顎関節症の発症を考える時に忘れてはいけないことです(図3)。どちらかに偏った動きが続くとどちらの関節にも影響が及ぶこ
とになります。最も大切なことは、顎関節の関節窩を形成している骨は側頭骨という頭蓋骨の一部であって、その頭蓋は頸椎に支えられているということです。頸椎が正しく機能(運動)して 頭部を支えなければ、顎関節は正しく機能できないのです。顎関節の解剖学的な運動点は顎関節ですが、臨床的な運動点は後頭骨後頭骨と第一頸椎の関節といえます(図4)。このような複雑
な運動を可能にするために顎関節に円板という組織があるのです。顎関節は円板の動きが円滑で機能的であって初めて正しく機能するのです(図5)。顎関節症の原因はいろいろありますが、
結果として関節円板が正しく動かなくなって(機能しなくなって)発症するといえます(図6_a_b)。
当院の治療は、顎関節そのものへの施術に加え、顎関節円板を ”機能解剖学的・組織学的” に正常な状態に復するための治療を行います。そのためにはオーラルリハビリテーションなど
顎関節への運動療法や手技療法のアプローチ(施術)(図A)に加え、早期治癒に向けて頸椎へのアプローチを積極的に行います。

顎関節症 (TMD or CMD) に関する用語の説明;

顎関節症の分類
口を開ける際に顎がカクカクするとか痛みを感ずる場合、顎関節症が疑われます。症状によって以下のように分類されています。

I 型: 咀嚼筋障害を主徴候とし、その病理は筋緊張と筋スパズム、筋炎です。顎関節部の運動痛と運動障害を僅かに生じることがあり、筋痛を強く生します。
II 型: 関節包、関節靭帯、円板後部組織の慢性外傷性病変を主徴候とし、顎関節部の運動痛と圧痛を強く生じ、関節雑音を生します。筋痛は強くありません。関節鏡下で病変が認められます

III型: 関節円板の転位や変性、穿孔、線維化が主徴候となります。クリッキングと呼ばれる関節雑音が顕著です。筋痛はなく、顎関節部の疼痛も弱いです。
III型a: 復位性関節円板転位; 関節円板の位置関係が復位する時に関節雑音(クリック音)が確認できます。
III型b: 非復位性関節円板転位; 関節円板の位置が元に戻りません。ひっかかりのための開口障害や顎関節の疼痛が生じます。
IV型: 変形性関節症。関節軟骨の破壊、下顎窩や下顎頭の骨吸収や変性・添加、関節円板や滑膜の変形異常などの退行性病変を主徴候とし、クレピタス音と呼ばれる関節雑音が顕著になりま す。X線所見上も大きな異常を認めるようになります。
V型: 上記のI~IV型のいずれにも該当しませんが、顎関節領域に異常症状を訴え心身医学的な要素を含みます。

IIIb 型  以上になると外科的治療も必要とされてきましたが、近年ではできるだけ手術をしない方向になってきています。

顎関節症の方に中には、夜間、歯ぎしり (Bruxism ブラキシズム) される方もいらっしゃいます。ブラキシズムは弄舌癖や咬唇癖のような無意識、無目的に行われる異常習癖と同様のもので
あり、動作が行われる際には咀嚼筋群の異常緊張と、それに伴う歯および歯周組織への炎症性破壊、更に顎関節への異常な負荷がかかることにより、関節円板の転位などが生じる場合もあるの です。ブラキシズムにも様々な症状があり、以下のように分類されています。

ブラキシズムの3型
1) Graiding グライディング: 上下の歯を臼の如くすり合わせる運動(臼磨運動)をいいます。ギシギシと音を立て、咬頭に異常な力が働くので、歯質の崩壊を招きやすくなります。睡眠 時に多く、一般に呼ばれる「歯ぎしり」 はグラインディングを指す事が多いです。
2) Clenching クレンチング: 上下の歯を静的に強く噛み合わせる動作を言います。覚醒時に無意識に発現していることが多く、自覚症状は勿論、他覚症状もほとんど無いために発見が遅 れることがあります。
3) Tapping タッピング: 上下の歯を動的にカチカチと噛み合わせる動作を言います。

上下の歯が強く接触している時間:は、わずか15分/日程度(咀嚼時間含) といわれています。ブラキシズムの出現頻度は 8~16 % 程度であり、昼間のブラキシズムを含めて、約 8~34 % と報 告されています。 治療法として、咬合調整、薬物療法、2、バイオフィードバック療法、3、スプリント療法、4、ストレスマネージメント療法などが行われています。

クレンチングは、起きている時に無意識に行っていることが多いので、以下のようなチェックが必要です。
Clenching syndrome のチェックポイント
1.上下の歯の噛みあわせ面が磨耗している。
2.下あごの内側に骨の隆起がある。
3.上あごの口蓋の中央に骨の隆起がある。
4.歯の外側と歯肉の境目に鋭角に削り取られたような傷がある。
5.外耳孔(耳の穴)1センチ手前にある、顎関節に圧痛がある。
6.咬筋に圧痛がある。 <br>
7.歯に接する頬の内面に白い線がある 。
8.舌のふちに歯型の圧痕がついている 。
9.肩こりがある。 ・・・など。
顎関節の発生学

鰓(エラ)からできる顎関節;
顎関節は手足の関節とは成り立ち(発生)が違います。魚では鰓(エラ)になる部分からできるのです(図7)。水生動物から陸生動物への人間の進化の過程を物語っているといえます。このよ
うなことから顔面、咽頭(のど)、中耳などの諸器官を 「鰓弓 さいきゅう 器官」とよんでいます。鰓弓は上から番号が付けられていて、1~6番まであります(図8)。
顎関節症と関係があると考えられている槌骨と顎関節円板を結ぶ前槌骨靭帯や、頭蓋底の蝶形骨と下顎骨を結ぶ蝶下顎靭帯も同じ第1鰓弓からできていて、顎関節は第1鰓弓からできます(図9 )。
顎関節が形成されてゆく過程で頭蓋や脊椎も発達します。後頭骨は発生学的には内軟骨性骨化を示す脊椎の骨であり、第0頸椎といってよいのです。顎関節は頸椎と機能解剖学的につながって います。それはこのような発生の仕組みに端を発しているのです(図10)。
機能的解剖学的にも顎関節と頚椎の動きは連動しています(図4)。特に後頭骨と上位頚椎(環椎・軸椎)は運動学的関連がとても強いのです。口を閉じている時の顎関節の位置は下顎は上顎 の歯の噛み合わせで決定されます。しかし、物を食べたり、会話をしたりするときは頭蓋と頸椎の動きが重要になってきます。スクーピングという運動ができるのは後頭・環椎・軸椎関節(OAA 関節)だけなのです(図11)。この関節と顎関節の開閉口は連動しています。ここに、顎関節の機能異常から、肩や頸にコリや痛みなどが起きるうるという根拠があります。
顎関節症の専門医は口腔外科医(歯科医師)になります。しかし、前述したように脊椎との機能的関連性が深いことから、全身の関節のことも理解が深い柔道整復師との連携(医療連携)が必 要であると考えています。
顎関節症を含み、顎関節のことお悩みの方は、是非、一度、相談ください。

 

引用・参考文献(掲載されいる図は以下の本から一部改編したものです。)

1、塩田浩平訳; 発生学アトラス 文光堂 2003年

2、歯界展望 特集 顎関節症ー疼痛について.  82(6), 1993 年

3、Okeson TMD, 5th ed.

4、 K.H. Rateitschak, H.E. Wolf eds.; TMJ disorders and Orofacial pain. Color Atlas. Thieme, http://books.google.co.jp/books?id

白石洋介 更新日 2014年8月

顎関節脱臼

顎関節は、解剖学的構造が手足の関節とは違っています。「私は時々顎が外れる・・・」という方がおられますが、顎は基本的に外れないのです。慢性顎関節脱臼 Chronic TMJ dislocation は起ることがあります。高齢者が長期臥床についているとき、ポカンとして口を開けたままにしていると、本当に顎関節が脱臼してしまうのです。発見が遅れて放置されると頬骨と側頭骨の間にまで入り込んで外れてゆきます。なぜ顎関節は脱臼しないのか? それはもともと正常な顎関節でも、大あくびした時などは関節骨頭が関節窩の前方を乗り越えてしまう関節だからです。では、どうして顎が急に閉じれなくなるのでしょう。それは顎関節には関節内に円板と呼ばれる線維軟骨があり、それが関節頭の動きと連動できなくなり、円板が取り残されることで口が閉じられなくなるのです。

ヒトの顎関節には、まだ知られていない機能的靭帯があります。1995年 白石洋介

TMJRetinaculerLig

TMJ_Retina_Lig

両側の顎関節が慢性的に脱臼していた貴重な例

ClonicTMJdisloFig


 

 

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