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柔道整復師のための解剖学シリーズ 顎関節3

前回、口腔外科においては、Open Lock と称されるものが 1)、我々のいう顎関節脱臼と同様であることを述べました。四肢の関節における脱臼では、生理的可動範囲を越える運動を強制されることで生じると定義されており、関節包や靭帯の損傷を伴うことになります。臨床的にも組織損傷による患部の腫張が観察されます。しかし、筆者は顎関節脱臼に関して、疼痛による筋の高度緊張は経験しても、患部の腫張を経験したことはありません。おそらく多くの読者も同様ではないでしょうか。

これが意味することは、顎関節脱臼、つまり Open Lock 状態では関節包の損傷は生じないということです。開口動作において、関節円板と関節頭の動きに不調和が生じ、関節円板の前方肥厚部を関節頭が乗り越えるだけなのです。その不調和の誘因には様々なものが考えられており、関節の不適合、加齢におる変形、歯の咬み合わせ不適当、円板の変性などに加えて心理的因子を忘れてはならないでしょう。また妊婦にあっては分娩時期が近づくと顎関節が脱臼しやすく、これは分娩に向けてのホルモンバランスの変化によるためと考えられています。

我々柔道整復師は、顎関節脱臼に対して経験的に筋の緊張を除けば簡単に整復できることを知っていました。しかし、脱臼の解剖学的解明は一切なされないまま、口外整復法か口内整復方(指法・母法)など、いわゆる船底式整復法が行われてきました。その操作は、まったく偶然に、Open Lock の際、後方に残こされてしまった関節円板が前方に移動できる環境を与えていたのです。・・・・・以後割愛

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参考文献: 1, Bakardjiev AG, Atanasov DT.: Surgical treatment of chronic mandibular dislocation–report of a case. Folia Med. 2002;44(1-2):89-92. 2, 白石洋介ら: ヒト固定遺体における慢性両側性顎関節脱臼と関節円板の解剖学的及び組織学的観察, 柔道整復・接骨医学誌 Vol. 7, No. 2, p79-85 1998. 3, Miyake M. et al.: Morphological study of the human maxillofacial venous vasculature; examination of venous valves using the corrosion resin cast technique. Anat Record 1996; 244, 126-132.